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モノづくりの事業規模

Posted by ゆのじ on 10月 31st, 2011

細々ながら法人を立ち上げてから5年半になる。個人事業だった時代を含めたら8年ほど、軸にしている業種を少しずつシフトさせながら来たが、当初と今との情勢は驚くほど違う。特に、リーマンショックをはじめとする経済への打撃が、消費者の持つ「お金」というものへの感覚を変えてしまったことが情勢を大きく変えた要因なのだろう。

私のようなど素人が経済についてここで論じるつもりはさらさないが、これからの時代、ごく小さい規模での製造業が出来ないものかと考えている。家庭内手工業的というと大変印象が良くないかもしれないが、日本でいえば伝統工芸程度の規模での工芸品でない製品の製造は出来ないものだろうか。伝統工芸の世界では、たとえば作業ごとに職人が分かれていて、分業でものを作っているケースがよく見られる。ざっくり言えばあのイメージだ。

もちろんそのまま電子機器やら何やらの世界に適用することは難しいだろうが、すでに分業制は当然のようにあって、何が難しいかといえば結局のところコストにあるわけだ。たとえば樹脂の射出成型で超がつくほど簡単なケースを作るだけでも、数万個だとかというロットでつくるならともかく、100個やそこらでは1個単価が何千円にもなってしまう。設計まで丸投げしたらそんな程度では済まないだろう。昔は電子回路類もかなり高価だったはずが、この辺りはアジア各国の製造業者とのブローカーが出てきたおかげで(アジア各国も超小ロット製造をやるようになってきたのもあって)だいぶ安価になってきている。なんだかんだでここはおそらくだいぶ問題ではなくなってくるはずだ。

だが、それでも大量生産と比べたら高いものになることは間違いない。そういうところで伝統工芸などは「ストーリー」をつけることで割高感を解消しているように見える。職人が1つ1つ手作りしているだの、国内で作っているだの、時間がかかっているだの、歴史が、由来が、云々。手仕事で長時間かけて洗練されてきたことは否定しないが、いずれもとても定性的で主観的なストーリー。この辺りは一つのカギになるような気がする。

そういうところをうまくクリアして、何か小ロットしか生産しないもので何か出来たらちょっと楽しいんじゃないか、そんな夢想。価格競争さえしなければ、しなくてよい立ち位置になれば、できるんじゃないかなと思っている。