Archive for 11月, 2009

USB電源作った

Posted by ゆのじ on 11月 26th, 2009

usb-ps

USB電源といっても、USBの5VにコンデンサとLEDとポリスイッチをつないだだけの緊急対応用のもの。先日、とある案件で電源も何もないところでマイコンのデバッグをする羽目になったのだが、そのときにこういうのがあると便利だなと思って取り急ぎ手持ちパーツででっち上げた。

回路自体はシンプルで、秋月の16ホールユニバーサル基板を2×2で使ったモノに適当に部品を乗せてある。16ホール基板はまとめて買うと(通販だと実際どういう荷姿になるのかわからないが、店頭でまとめて買うと)、ある程度のサイズの基板にVカット状態のものが手に入る。これを適当なサイズに折って使うのだが、変な大きさの基板が欲しいときに大変重宝する。ブレットボードに挿せないようなチップ部品を片っ端から16ホール基板に実装して一列ピンヘッダを足にしたものも作るのが楽だ。

 

で。この電源、そのまま剥き身で使うといろいろ危ないし可愛くない、ので、久しぶりにCNCを起こす意味でちょっとケースを作ってみた。途中経過は端折るが、結果はこんな感じ。

裏から

 上から斜めから 裏から

得られた知見をメモしておく。

CNCで黒檀は削れる。重みの通り、割と樹脂と変わらない。ただし、木が密でないところは毟れるように割れたりするので、Plunge rate(切り込み送り速度)は小さめがおすすめ。F=50とかでも0.2mm切り込むと怖い。良いCAMで切り込みに横傾斜をつけられるのならば、そういう設定がおすすめ。

若干だが削ってる最中にゆがむ。木材なので致し方ないが、ケミカルウッドのようなつもりでやると思わぬ結果になるかもしれない。かなりのトライ&エラーを繰り返す必要がありそう。今回はエンドミルの軸が木材にすれてガラスをひっかいたような音が立ったりして結構びくびくすることになった。

木材を削るときは火災が怖い。もろに摩擦で火をおこす、というようなことをやっているので、樹脂と同じつもりでしばらく放置なんてことはしないほうが良いと思う。幸い発火の気配もなかったが、怖いので全く手を離せなかった。切り子(というよりおが屑)はかなり頻繁に掃除機で吸った。

フルに削りだしは死ぬほど時間がかかる。今回、黒檀を0.2mmずつ切り込んだが、およそ3時間ほど要した。ちなみに上の写真にはあえて定規をいれていないのだが、縦横26mm、高さ20mmほど。中の空間は縦横20.5mmの深さ17mm。大きい削りだし物はスタイロフォームでもないかぎり、この手の小型非力CNCでやるべきではないだろう。楽しいけど。

 

久しぶりに何か作った気がした。この感覚から何かを得られればいいなと思う。

大仰な理屈や看板は嘘くさい

Posted by ゆのじ on 11月 22nd, 2009

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自分で言うのも何だが、私はかなり理屈っぽい性格である。だが、だからこそというべきか喧伝される理屈は好きではない。なんだか後付けだったりモノその物の制作意図ではない意図を感じてしまう。つまり嘘くさく感じる、のだ。

こんなpostを書こうと思ったのは、たまたまLEXUS LFAエンジン音のサウンドデザイン、なんていうページを見てしまったからだ。聴いてみると、音質がたいして良くないのと録音しづらい音源であるせいで細かいところはよくわからないが、いわゆるスポーツカーらしい音、に仕上がっているような感じは受ける。こういったモノはユーザの感性に訴えるものなので、好きな人嫌いな人、どっちもいるだろうし、それについては別にどうというつもりもない。だが、それってわざわざ他社に依頼してやって、リリースまで打つようなものなのだろうか。

当然、このひどい不況の中、ちょっとでも売り上げを上げたいのはよくわかるし、そのためにはあれやこれや手を尽くして説明文に書けることを1行でも増やしたいのは感覚としてはわかる。ゲームは中身にお金をかけるより広告にお金をかけた方が売れるなんていう話が出てきてしまうくらい、そういうプロモーションが大事だというのも知ってる。だが、それでもなおそういう売り方をしないという矜持のようなもの、それが物を作る人にはいるんじゃないだろうか、というように思うのだ。

矜持で飯が食えたら苦労しない、なんて言う奴はとっとと食えなくなればいいのだ。そういうものじゃないかね、何かを作って世に送り出すつうのは。

 

というところでちょっとこのネタを寝かせておいたのだが、昨日の帰りに相方と会話していて、自動車製造大手のような巨大企業は物作りをやるならもっと細分化したほうがいいのに、という話が出てきた。
今はサスペンションだとかは外部企業がやっていたりするが(KYBとかオーリンズだとか有名だけれども)、エンジンに特化した会社だとか、フレームに特化した会社だとか、そういうのはあまり聞かない。詳しくない業界なのでそのあたりの細かい実情はとりあえずおいておくとして、要点はコンセプトワーク専業の会社、販売専業の会社(今は一応販社って格好になっているけどあれは他メーカ車を扱えない時点で同じ会社みたいなものに見える)、組み立て専業、エンジン専業、etcetc、と分かれていったらいいんじゃないかと思ったわけだ。そういうところでは、ミツオカなんかは本当に格好いいとおもう。

 

まー、そうなったらうちは何をやるかね。そこが課題かもしれない。

プロトタイピングの早さの強み

Posted by ゆのじ on 11月 19th, 2009

UEW/ETFE UEW線とETFE線の使い方のエントリを書いていたらマシンが転けて(正確にはサスペンドから帰ってこなかった)、エントリが消えたので別なネタ。UEW線とETFE線の使い方についてはまた後日書き直す。

ここしばらく、某所向けのプロトタイプ品を作っていたのだが、数点だけのプロトタイプの場合、なおかつプロダクト化するときとの差があまり大きくない場合(今回は制御基板モノだったのだが、こういうときは周波数があまり高くなくてシビアじゃない回路とかだった場合)、手元で作れるかどうか、は結構重要なポイントになってくる気がする。手元で作れないとどうにも気が重い。今回はユニバーサル基板に半田付けでプロトタイプを作ったが、たいして複雑な回路でもないので数時間程度で作ることが出来た。

気が重いのはなんでなんだろう、と思っていたが、主にリードタイムによる気の重さ、のような気がしてきた。基板を起こすにしても、回路図を組んで、そこから基板データを作って、ガーバーデータにして、基板メーカに発注。届くまで数日~数週間、届いてから組み立て。万が一間違いがあればもう一度直すところからやり直し、一瞬で一ヶ月が経ちかねない。それが、手元で作れてしまえば間違っても数日でリカバーできる。そんな気軽さは割と大事なのではないか。
同じようにウェブアプリだったら手元でサーバをさくっと立ち上げて、誰かに見てもらえるレベルに持って行くことが出来ることが大事。いちいちサーバを契約して、なんていう壁を作ってはいけない気がしている。

もちろん、これは製品を作るための第一ステップ、可能性検討の段階での話、最終的な製品にむけてのステップの中では当然本番同等のものを作らないといけないし、時間も多く必要になる。だが、物事は一つ目のステップを踏み出すまでが重い。そこを超えるとなんとなく勢いがついてその先に向けて動き出す。その一歩目を軽くすることに時間をかけることは、決して無駄ではないはずだ。

以前、物事には物理法則が通用する、という会話を知人としていたのを思い出す。物理法則でも最大静止摩擦力を超えるまではモノは動かない。そういうものなのかもしれない。

さて、次は少数量産に向けての試作品作り。数を作るにはまだいろいろと遠い。