Archive for the '思想' Category

脳のタスクスイッチコスト

Posted by ゆのじ on 7月 1st, 2007

脳一人でなんでもこなすような作業をしていると、脳の中にも多くのタスクが走っていることを感じることがある。もちろん比喩的な意味で。

例えば「デザインをする」タスクは、見栄えだとか位置だとか色だとかを多角的に分析してそれらの調整をしたりしている。必要に応じて画像を作ったりもする。例えば「プログラムを書く」タスクは、関連する多くのライブラリの関数を覚えていて、ロジックをどんどん書いていく。例えば「文章を書く」タスクは、脳内の語彙をフル稼働させて文章を書いていく。これらのタスクが完全に平行して走ることが望ましいのだが、実際はそんなことは全然ない。たとえ、Webアプリケーションを作っている途中で、それらが密接に関わっているとしてもやっぱり違うタスクを使っている。そして、これらのタスクを切り替える、コンテキストスイッチングには結構な時間がかかる。言い換えれば「ゾーン」状態になったあるタスクから、別タスクに切り替えたとき、一瞬「ゾーン」状態から抜けてしまうというか。

そう考えると、効率よく作業を進めるには今のように平行で作業をすすめていくよりは、1)全体のロジックを書く。デザインは最低限(パーツだけ置く)、2)見た目を整える、3)必要な文章を足す、というように全体を作業科目ごとに分割して作業する方が効率が良さそうだ。

でも実はこれにも欠点があって、できあがりが見えてくるまでモチベーションが上がりづらいのだよな。常にモチベーション高く作業に当たれるわけでも無し、モチベーション重要。作ってるものが見えないで淡々と作業をするよりは、がんがん見た目、プログラム、見た目、プログラム、、と見えるように作り進める方が性に合っている。

妥協点探しは常に続く。

会社運営の難しいところ

Posted by ゆのじ on 6月 28th, 2007

会社を作ってみて1年以上経過した。その間、いろいろと思うところがあったが、一番大きいのは1年くらい会社回すのは、規模さえ問わなければ何とでもなるけど、精神的にストレスにならないように割り切るのは結構大変、ということのような気がする。

私には、「人間誰しも目的やキャリアパスを持っていて、何かがしたくて動いているものだ」という思いこみがどこかにあった。しかし、いざ雇用する側の立場でいろいろ見て話して考えた結果、この考えが万人に当てはまらないということを認識せざるを得ないだろう。いや、このような思いこみに適合する人なんてほとんどいない、ということを認識するべきなのだろう。

目的へ向かって進もうという意欲のない人と仕事をするには、その人に短期的な目的を都度与えてやらなければならない。適切な目的指示がなければ大きな自己改善は望むべくもない。何に気をつけるべきか、空気のように常識だと私が認識していることも一つ一つ教えなければならない。

そういうことを考えてみると、社員教育、ということは大変に重要ということがわかる。枝葉末節的な技術を教えるのではなく、もっと根本的な「目的を持って動こう」だとか「気を配ろう」とか、そういうことを骨身にしみるまで理解して実践してもらうこと、これが一番大切なことなのだろう。その上で、うちの会社にいることが互いにメリットになると認識してもらえれば、それに越したことはない。

また、逆に言えばワーカーレベルの仕事であれば、本当に割り切って、プログラムにファイルを放り込むがごとく、機械的に使わなければならない。その仕事を投げる相手のキャリアプランまで考えている余地があったらよりコアスタッフに対してその余力を使うべきだし、ワーカーレベルの仕事をやっている人は「おそらく」それで幸せなのだ。そう思わないとやってられない。

うちは会社の規模をさして大きくしたいという欲求はない。だが、それでも会社を動かす、ということは簡単な話ではなく、関係している人の数はいやがおうにもそれなりの人数になる。1人1人の顔や生活や人生まで考えることもこの規模の経営においては重要だと思っているが、範囲をより明確にしてきちんと切り分けることが一番大事、なんだろうなと思う。そして、冒頭に書いたようにそれがストレスにならないこと、これこそが会社を長くやっていくポイントなんじゃないかと思う。そうでなければそのうち嫌になって畳んでしまうに違いない。

新時代インタフェイス考

Posted by ゆのじ on 6月 23rd, 2007

机の上松濤での打ち合わせの後の電車内で、加賀谷氏とおもしろインタフェイスについて語る。脳波などを用いて思考を直接吸い上げることで、キーボードやマウス、ディスプレイといったヒューマンインタフェイスが、ブレインtoコンピュータ、になっていくのではないかといったとりとめのない話だったが、世の中の新しい物は、旧時代では馬鹿にされていた発想だったりする。きれいごとの夢物語はなかなかうまくいかないのだろう。

そんな会話をしている中で、視線入力でウインドウを動かせたらいいよね、という話が出てきた。ウインドウを動かして、ウインドウの中身をスクロールさせたりするだけでいい。少なくともそれが出来ればうちは相当パフォーマンスが上がるはず。

少し説明すると、私が今使っているPC環境は右の写真のような感じなのだが、左側ノートパソコンがメイン、右側ディスプレイは資料表示に使っている。このとき、キーをたたいている間は出来るだけキーボードから手を離したくない。特にThinkPadはトラックポイントというスティック型ポインタがあるせいで余計にそう感じるのだ。もちろん、おとなしくトラックポイントで操作すればいいのだが、トラックポイントは長距離押し続けるにはあまり向いていない。我が儘といえばそれまでだが、そういう細かいストレスは作業にかなり影響する。

とはいえ、右側ディスプレイに出している資料をスクロールさせなければ作業はすすまない。結果、せっかくノッてきたところで手をキーボードから離してマウスで操作するなりを強いられてしまう。そこで視線入力、というわけだ。ちょっと右を向いて視線でウインドウを動かしたり、ウインドウのZオーダーを入れ替えたり、ウインドウ内のコンテンツをスクロール出来たらどれだけ効率がいいだろう。

しかし一般的な視線入力デバイスはこういったニーズよりは障碍者の方のためであったり、ユーザビリティテスト用だったりと目的が違い、単価が安いとは言い難い。少し調べてみると、無料の視線入力ソフト、というものも存在するのだが、これも少し目的が違いそうだ。難しい。

 脳で直接何かとインタフェイスを取れるのはまだしばらく先になるだろうが、何かおもしろいインタフェイスが作ってみたくなった会話であった。