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ただ消費者になるなかれ

Posted by ゆのじ on 10月 15th, 2008

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とあるblogを読んでいて思った。現代人はあまりにも甘やかされすぎ、只の消費者になってしまっているのだということに。

昔は何でもお金で買える時代ではなかった。たとえお金があったとしても、自分の要望に応えるだけの商品は無いことが多かった。だから、どうしても要望を満たしたいと思ったら自分で作るしかなかった。もちろん実作業は他の腕利きの職人にお願いするとしても、その基本構想は自分が考えなければならないものだった。つまり、世の中が人をクリエイターたらしめていたわけだ。

時は流れ、大抵の日本人は強烈に豊かになった(ただし金銭面だけ)。そして、世界中の人が新しい物を作り続けた結果、ちょっと思いついた程度の要望をおおよそ満たすような商品は探せばすぐに見つかるようになった。後はお金を使えば要望は満たされる。自分で何かを考える必要なんて、無くなったわけだ。

自分で何かを考える必要が無くなって、売っている物を買えば良くなってくると、今度は売っている物と自分の要望との微妙な差異を埋めたくなってくるのは人情だろう。勤勉な日本人はそういう差異を勤勉に埋め続けた。そして良い商品が色々生まれてきた。

だが、それにも飽きたらず、今度は「機能」ではなく「安心」に対しての差も埋めたくなってきたらしい。自分でどうすれば安心に使えるかなどとは考えない、あくまでも製造者に要求し、もしくは製造者を取り締まる者に規制を求めるのみになった。ここまでくると、昔クリエイターだった面影はどこにもなく、只々ひたすらに周囲に文句を言い続けるだけの木偶と成り下がってしまったわけだ。理想を追い求めた末の末路がこれとは、勤勉だった時代には全く予想だにしなかったことだろう。

安全を極めようとすればするほど人間の本能が鈍っていざというときに危険だということを、理解できるうちに挽回していかないといけない。そうは思わない?