知識が増える=最適解、ではない

Posted by ゆのじ on 3月 5th, 2010

新旧Arduino。新しい方は一部チップ部品化されたりITAシールがはってあったりする。

専門的な手伝いなんて期待できない零細企業なんぞやってるものだから、どうしてもあれこれと幅広くやらざるを得ない。やるからには一応押さえるべきレベルまで押さえないと気が済まないので、気がつくと膨大な時間をかけて膨大な知識を仕入れることになる。

だが、こうやって大量に知識が入ってくること自体はうれしいのだが、それだから最適解が得られるわけではない。かえって、選択肢が少ないほど最適解だったりするのが現実だ。

変な知識ばかり得て、かえって遠回りをしないためにも、最適解たるための条件をきちんと自分で理解して選択していくようにしたい。マクロに見て、ミクロに見て、斜に見たりひっくり返してみたりしながら最適解を求めることを日々繰り返すことで、きっと脳には最適解検出エンジンが構築される。これこそが「眼」といわれるやつなのだろう。ぱっと理由は言えないけれど、なんとなくいい、悪いがわかるというやつだ。

その何となくには突き詰めれば大量の根拠が埋まっている。幅広く柔軟に、眼を鍛えていきたい。

silvercircuitsに基板発注

Posted by ゆのじ on 3月 3rd, 2010

pcb

あちこちの安い基板屋を試しては色々失敗を重ねつつ、今度はsilvercircuitsに基板を発注。silvercircuitsはマレーシアはクアラルンプールにある基板メーカだ。激安基板屋として有名だった(*1)OLIMEXと比べると近くにあるので、shippingに無駄な予算/時間を取られないのが大きなメリットだ。細かいことはgoogleで探してみると結構見つかる

silvercircuitsはPCB Prototypes(試作)と、PCB Production(量産)の2つのプランがあって、今回発注したのは、PCB Prototypesのほう。
PCB Prototypes色々細かいことが指定出来ない代わりに、6.3” x 4.0” (160.02mm * 101.6mm)の62mil(1.574mm)厚のFR4 Panel(基板)4枚(これが最低発注量、最大で6枚)で片面ないし両面、緑マスクに白シルクで72USDというプラン。これに日本宛送料が13USD、合計85USDおよそ8000円弱でおうちに基板が届いてしまう。しかもshippingは1、2日しかかからない。1枚しか必要ないし予備も要らない、時間も十分有り余っている、という場合であればOLIMEXのほうが安いが、その制約を1つでも外したいのであれば、OLIMEXより安いのではないかと思う。ちなみにOLIMEXだと無料のPanelizing(面付け)は1ピースにつき0.50USD必要になる。

OLIMEXより優位な点は他にもある。一般的なことは他で語り尽くされている感があるが、私が特に重視していたのは、via/hole(ドリル穴)とtrack with/space(線幅)。OLIMEXだとminimum via/holeが24mil(0.6mm)となっていて(*2)、これだと基板上の密度が上がってくると結構キツイ。silvercircuitsだとこれが14mil(0.355mm)と半分近くにできる(*3)。track with/spaceも、OLIMEXは下限が頑張って納期のばしても8mil(*4)なのに比べて、silvercircuitsだと標準で7mil、がんばると4mil(advancedの場合。但し別途見積もり。via/holeも10milまで詰め込める)と、ホビーに近い用途なら十分なほど細かい。

OLIMEXは標準仕上げがENIG(無電解金メッキ)なのだけちょっとうらやましい。これがsilvercircuitsだとHASL(半田メッキ)が標準で、ENIGはproductionでないと選べない。productionは総面積100平方インチ以上でないと発注できないので、小さい基板をちょいと、というのには向かないのだ。もっとも、β版一桁枚程度をわざわざENIG仕上げにしなくても、という気もする。

最近、silvercircuitsのサポートの方にはあれこれ質問攻めにしてしまっていて申し訳ないので、気づいた点、頂いた情報はできるだけ書いていこうと思う。一応、都度書くけれども最終的な確認は各人で。

ちなみに今回の発注物は2.1” * 2.35”程度だったので、面付けすると1枚のPanelから3枚取れて、4Panelsで12枚の基板になる。支払いはGoogle checkoutで行うのだが、今回は91USD(送料込み)、決済金額を見たら8,369円の決済がされていた。およそ1USD=92円で決済されたことになる。基板1枚あたりにすると700円くらい。正直すごい安い。

 

ということで、モノが届くのは3/10か3/11。届いたらまたレポートしたい。

 

(*1)silvercircuitsが頑張って値下げして、OLIMEXがeuroになって値上がりしたのでどうも最近は激安という気がしない。送料がめちゃくちゃ高いし。

(*2)standard drillだと28milが下限。24milはextra chargeが必要。

(*3)でもEAGLE用のdruではminimum via/holeは16milと定義されているので、ここは質問中。ってblogの記事書いてる間にメール帰ってきた。曰く、

14 mils is correct. The specifcaition on the design rule page is outdated. The DRC file is more recent. Thank you

だそうな。14milが正しくて、DRUの16milは古いよ、と。Choさん、現地時間朝の朝5時なのに。起きてすぐ返信したのだろうか、すごいなぁ。

(*4)10mil以上であれば5working daysだけど10mil未満があると15working days。

–以下メモ

OLIMEXの最安発注価格(両面):
DSS panel(160x100mm) 1枚(30.00euro)、via AIRMAIL(8.50euro)で合計38.50euro。執筆時点(2010/3/3)の為替相場は120.67円/euroだったので、4645円相当。但し輸送にすごく(1~2週、時々3~5週)かかるので、これをFedEx(輸送1~2日)に変更すると送料が24.00euroとなり、合計54.00euro、6516円相当。製造は5営業日標準、10mil未満のtrackで15営業日。

silvercircuitsの最安発注価格(両面):
PCB Prototypes(160mm * 101.6mm) 4枚(72.00USD)、via FedEx/DHL(13.00USD)で合計85USD。執筆時点の為替相場は88.71円/USDだったので、7540円相当。輸送は1日。製造は5営業日。

お仕事一山

Posted by ゆのじ on 2月 25th, 2010

某シールド。適当に撮ったらなんか傾いてる・・・

某所の仕事で作ったArduinoシールド。β版なのであれこれERATTAがあって、コストダウンの可能性がまだまだあるので、現在RC1版を作成中。

こういった物を作るとき、実際に物を作っている時間は実はさほど多くない。それよりは部材選定やモジュールごとのテストにもの凄く時間が取られる。なので、思った通り進まないことが非常に多い。まだまだ知識が足りず、ソフトウェア以上に予想より外れることも多々。

でも結果として物ができるとちょっと嬉しい。この嬉しさをバネに次へ進むのだ。

 

久しぶりに外に出る時間が取れたので、いつもの知人とお茶。ディスカッションをするうちに、食えそうなネタがいくつか掘り起こせた。

これからの世の中、うちのような零細企業は食えるニッチを探すか作るかしかない。偉そうな顔をしたい、有名人になりたい、なんていう名声欲は端からまるっきりないので、せめて長く使える役に立つ物を作れるニッチがないかなと思う。