Archive for the '思想' Category

大仰な理屈や看板は嘘くさい

Posted by ゆのじ on 11月 22nd, 2009

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自分で言うのも何だが、私はかなり理屈っぽい性格である。だが、だからこそというべきか喧伝される理屈は好きではない。なんだか後付けだったりモノその物の制作意図ではない意図を感じてしまう。つまり嘘くさく感じる、のだ。

こんなpostを書こうと思ったのは、たまたまLEXUS LFAエンジン音のサウンドデザイン、なんていうページを見てしまったからだ。聴いてみると、音質がたいして良くないのと録音しづらい音源であるせいで細かいところはよくわからないが、いわゆるスポーツカーらしい音、に仕上がっているような感じは受ける。こういったモノはユーザの感性に訴えるものなので、好きな人嫌いな人、どっちもいるだろうし、それについては別にどうというつもりもない。だが、それってわざわざ他社に依頼してやって、リリースまで打つようなものなのだろうか。

当然、このひどい不況の中、ちょっとでも売り上げを上げたいのはよくわかるし、そのためにはあれやこれや手を尽くして説明文に書けることを1行でも増やしたいのは感覚としてはわかる。ゲームは中身にお金をかけるより広告にお金をかけた方が売れるなんていう話が出てきてしまうくらい、そういうプロモーションが大事だというのも知ってる。だが、それでもなおそういう売り方をしないという矜持のようなもの、それが物を作る人にはいるんじゃないだろうか、というように思うのだ。

矜持で飯が食えたら苦労しない、なんて言う奴はとっとと食えなくなればいいのだ。そういうものじゃないかね、何かを作って世に送り出すつうのは。

 

というところでちょっとこのネタを寝かせておいたのだが、昨日の帰りに相方と会話していて、自動車製造大手のような巨大企業は物作りをやるならもっと細分化したほうがいいのに、という話が出てきた。
今はサスペンションだとかは外部企業がやっていたりするが(KYBとかオーリンズだとか有名だけれども)、エンジンに特化した会社だとか、フレームに特化した会社だとか、そういうのはあまり聞かない。詳しくない業界なのでそのあたりの細かい実情はとりあえずおいておくとして、要点はコンセプトワーク専業の会社、販売専業の会社(今は一応販社って格好になっているけどあれは他メーカ車を扱えない時点で同じ会社みたいなものに見える)、組み立て専業、エンジン専業、etcetc、と分かれていったらいいんじゃないかと思ったわけだ。そういうところでは、ミツオカなんかは本当に格好いいとおもう。

 

まー、そうなったらうちは何をやるかね。そこが課題かもしれない。

プロトタイピングの早さの強み

Posted by ゆのじ on 11月 19th, 2009

UEW/ETFE UEW線とETFE線の使い方のエントリを書いていたらマシンが転けて(正確にはサスペンドから帰ってこなかった)、エントリが消えたので別なネタ。UEW線とETFE線の使い方についてはまた後日書き直す。

ここしばらく、某所向けのプロトタイプ品を作っていたのだが、数点だけのプロトタイプの場合、なおかつプロダクト化するときとの差があまり大きくない場合(今回は制御基板モノだったのだが、こういうときは周波数があまり高くなくてシビアじゃない回路とかだった場合)、手元で作れるかどうか、は結構重要なポイントになってくる気がする。手元で作れないとどうにも気が重い。今回はユニバーサル基板に半田付けでプロトタイプを作ったが、たいして複雑な回路でもないので数時間程度で作ることが出来た。

気が重いのはなんでなんだろう、と思っていたが、主にリードタイムによる気の重さ、のような気がしてきた。基板を起こすにしても、回路図を組んで、そこから基板データを作って、ガーバーデータにして、基板メーカに発注。届くまで数日~数週間、届いてから組み立て。万が一間違いがあればもう一度直すところからやり直し、一瞬で一ヶ月が経ちかねない。それが、手元で作れてしまえば間違っても数日でリカバーできる。そんな気軽さは割と大事なのではないか。
同じようにウェブアプリだったら手元でサーバをさくっと立ち上げて、誰かに見てもらえるレベルに持って行くことが出来ることが大事。いちいちサーバを契約して、なんていう壁を作ってはいけない気がしている。

もちろん、これは製品を作るための第一ステップ、可能性検討の段階での話、最終的な製品にむけてのステップの中では当然本番同等のものを作らないといけないし、時間も多く必要になる。だが、物事は一つ目のステップを踏み出すまでが重い。そこを超えるとなんとなく勢いがついてその先に向けて動き出す。その一歩目を軽くすることに時間をかけることは、決して無駄ではないはずだ。

以前、物事には物理法則が通用する、という会話を知人としていたのを思い出す。物理法則でも最大静止摩擦力を超えるまではモノは動かない。そういうものなのかもしれない。

さて、次は少数量産に向けての試作品作り。数を作るにはまだいろいろと遠い。

今日いろいろ気がついた

Posted by ゆのじ on 10月 28th, 2009

珈琲館@倉敷

夕方床屋に行ったあと、良く茶飲み話をするライターの友人とうちの会社の方向性について軽く会話をしていた。いつものちょっとした茶飲みで、普段通りであればここでの会話は脳内深くに沈んでいずれ何かのトリガになるのを待つだけであった。
だが、たまたま今日はそうならず、帰宅して一息ついたころに取引先のO社長から食事に誘われた。そこでもおもしろい話をいろいろ聞かせていただいたりしていたのだが、そんな話を聞いたりしたりしているうちに、私は現時点では「広義でのデザイン」に行きたいのだと思っていることに気がついた。ビジュアルだけではなくて、ファンクション、プロセス、ライフサイクル、ライフスタイルまで含めてのデザイン。そしてポイントは自分が使いたいようなものを作る、ということ。これまで長く「物」の作り込み、良い物を長く使うということにこだわり続けてきたことは決して無駄にはなるまい。

・・・

今日の気づきを分析するに、人と会話することによって自分の意識を削りだしていくと、よりシャープに方向性を理解することが出来るということなのだろう。一人でうんうん唸っているよりは人とディスカッションするほうがよほど効くということが改めてわかったのであった。良い友人知人に恵まれたことに本当に感謝したい、と共に、いいタイミングで誘っていただいたO社長、ありがとうございました。